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透析液へのこだわり  当クリニックの透析液清浄化システム 研究Up To Date
透析液製造工程中に存在する細菌の検査法・現存量及び動態評価

◆緒言

透析液中に存在する生理活性物質が生体に悪影響を及ぼすことは周知の事実である。
とくに細菌汚染はバイオフィルム形成や生理活性物質の遊出を招くことから、
細菌現存量を評価し対策を講じる必要がある。
細菌の存在を確認するには以前から培養法が用いられ、
現在の細菌学の基盤技術として成り立っている。
従来までは、小さな細菌を扱う手法が存在せず、
1cell の細菌を目に見える大きさの集落(colony)を形成するまで
増殖させてcolony数として細菌数を評価することが通常であったが、
近年の分子生物学・光学系技術の発展は著しく、細菌を蛍光染色剤で標識し、
蛍光顕微鏡下でその数を直接計測する蛍光染色法が開発されて以来、
環境中に生息する細菌の殆どは通常の培養法では検出が困難であることがわかってきた。
特に水環境中に生息する細菌の殆どは通常の培地で colony を形成せず、
これらは細菌が存在しないものとして考えられてきたことになる。
蛍光染色法を用いることで、それまで見過ごされてきた培養困難な細菌も含めて
検出できるだけではなく、通常 7 日間程度かかる培養時間を必要とせず、
1時間以内での細菌検出が可能であり、
Process Analytical Technology(PAT)として国際的にも注目を集めている。
透析治療においては、細菌の現存量をより正確に知る必要があり、
リスク管理の面からもリアルタイムに結果を評価できることが望ましい。

◆蛍光染色法による生理活性を持つ細菌の定量
培養法はその細菌に増殖能力があるがうえに「生理活性をもつ細菌」として検出する方法である。
一方、蛍光染色法は、酵素活性を持っている、
呼吸活性を持っている等の細菌が有する特徴を蛍光染色剤で標識し、
「生理活性をもつ細菌」として計測する方法である。
本法は、試料をメンブレンフィルター(以下、 MF)でろ過し細菌をMF上に補足した後、
蛍光染色剤にて細菌を染色し、蛍光顕微鏡下で直接計測する。
核酸や蛋白質など様々な生体成分・生理活性を標識でき、
蛍光波長の異なる蛍光染色剤を組み合わせることによって二重染色も可能である。
全菌数は核酸と特異的に結合する試薬である
4',6-diamidino-2-phenylindole(DAPI)を用いて計測できる。
DAPIは紫外線によって励起され生きている菌と死んでいる菌の双方が青色に蛍光発色する。
また、 6-carboxyfluorescein diacetate (6CFDA) を用いることにより
細菌に大量に存在するエステラーゼを指標として生菌を計測できる。
6CFDA は細胞内のエステラーゼにより加水分解されて青色励起光下で
緑色に蛍光発色する6- carboxyfluorescein になり細胞内に蓄積される。
これにより、エステラーゼ活性を有する細菌として検出できる。
また、増殖能力を有する細菌の計測にはマイクロコロニー法が有効である。
マイクロコロニー法は、MFに細菌を捕集した後、短時間培養を行い、
コロニー形成の初期段階であるマイクロコロニーを
SYBR GOLD等の核酸結合試薬で標識し、落射型蛍光顕微鏡下で計測する。
従来の培養法では目視によるコロニー計測のため、
細菌が確認されるまでおよそ一週間を要し、
1個の細菌が10万個近くにまで増殖するのを待つ必要があった。
マイクロコロニー法では、目視可能となるまで増殖できなかった細菌も含め
12〜48時間以内に増殖能力を有する細菌の検出が可能である。
Fig.1は培養法・非培養法を示している。
Fig.2にように寒天培地に試料をいれ細菌の有無をcolonyとして捉える手法は培養法である。
この手法では細菌に増殖能力があることで
「生理活性をもつ細菌」として検出する最も一般的な手法である。
一方、非培養法である蛍光染色法を用いると、培養を行わずして細菌を検出することができる。
この場合は細菌の特徴を蛍光染色試薬にて標識し蛍光顕微鏡下で直接計数することになる。
Fig.3は大腸菌をDAPIにより蛍光染色し、蛍光顕微鏡で覗いた画像である。
これらの画像を数十視野計測し、メンブレンフィルターの全面積に換算して細菌数を計測する。
単位はcfu(colony forming units)ではなく、個(cells)となる。
また、エステラーゼ活性、呼吸活性、細胞膜透過性等の細菌の特徴を試薬により
染め分けることが可能であり、細菌のさまざまな情報を知ることができる。
Fig.1
【Fig.1】Culture and Non-culture Methods
Fig.2
【Fig.2】Culture Method
Fig.3
【Fig.3】Non-culture Method - Direct Epifluorescent
【Fig.3】Filtration Technique (Escherichia coli )
加えて、細菌の計測作業には技術と熟練を要すことから
これらの作業を自動化した装置も開発されている(Fig.4)。
Fig.4
【Fig.4】Rapid and Automated Bacterial Detection Systems
我々は、従来からの培養法に加えてこのような非培養法を用いて、
透析液製造工程中の細菌の迅速検出と動態解析に取り組んでいる。
また、これらの手法が手軽に行えるよう自動化された装置の評価にも取り組んでいる。
参考文献
 
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